第4回 「一度きりの命を賭けて生きる」
矛盾に挑み続け、真のベンチャー精神を貫く、千本倖生氏。
時代を変え、世界を動かしてきた強靭な原動力はどこにあるのか。
そして、本質的な意味での“経営”とは、“ベンチャー”とは、一体何なのか―。
昨今からの経済危機の影響で不安ばかりが先走りますが、千本氏の生き方や働き方の真髄を見れば、誰もが奮起するはずです。どうぞお楽しみください!
早いもので、最終回になってしまいました。
これまで、私が何度も悩み、数々の失敗をしながらも、いかに信念を貫いてきたかをお話しました。今回は最後ですし、転職を考えるみなさんが不況と言われる現代でどのように働き、そして天職にめぐり会うかをお伝えしたいと思います。
近頃、メディアから流れてくる情報は、気分が悪くなるような暗いものばかりです。日本は危機的状況にあり、世界経済における地位は徐々に後退しています。けれども、肩を落として地面ばかりを見るのではなく、こういうときこそ世界へ目を向けるべきです。

自分が置かれている状況だけで判断し、一喜一憂しても何も変わりません。広い視野を持って、世界の動きをよく見てみてください。そして、頭の芯を使って考え、困難をくぐり抜けてください。
時代はさかのぼりますが、日本でようやくインターネット革命が始まった1999年、世界にはブロードバンドが普及し、アメリカや韓国で200万人以上がADSLに加入していました。一方、日本ではADSLはほとんど使われることはありませんでした。
アメリカのオフィスでは常時接続が当たり前だったのに、日本の大多数のユーザーはダイヤルアップで接続をしていました。今では考えられませんが、必要なときだけインターネットにつないでいたのです。「インターネットの環境を整えなれば、日本は世界に取り残されてしまうと思っていました。
その頃の私は企業家ではなく、慶應義塾大学経営大学院教授として教育に携わっていました。ブロードバンド事業を興さなくては日本の未来はない。そう考えていたものの、57歳という年齢から家族に反対され、起業についてこれまで以上に悩みました。
しかし、世界に通用するベンチャー企業というものを自ら示したいと考え、教育者としての立場を辞めて、再び起業することにしました。 そして、1999年にイー・アクセス株式会社、2005年にイー・モバイル株式会社を創業しました。

現在は厳しい状況にありますが、世の中を革命的に変えるチャンスでもあります。世界を進歩させる行動は、必ず天が後押ししてくれます。世界に視野を広げ、皆で団結して力を出し合えば、日本の経済も必ず前進できます。
今回の連載のタイトルに『人生意気に感ず』とありますが、金銭や名誉など目先の利益に走っても何も生まれませんし、何も得られません。もっと奥深いところにある人生の本望に沿った生き方や働き方をしてください。
もしかしたら、転職を考えているみなさんは、天職とは何かを悩んでいるかもしれません。天職は、自分で探すべきものです。自分でしか見つけられないものなのです。天から与えられた自分の身を置くべきポディションがどこにあるのかをじっくりと考えてみてください。
みなさんには、まだまだ猶予があります。
一度だけしかない人生を賭けて全精力で探し、あなたにとっての天職に出会えることを願っています。




