第3回 「人生は、あらゆる可能性を秘めている」
矛盾に挑み続け、真のベンチャー精神を貫く、千本倖生氏。
時代を変え、世界を動かしてきた強靭な原動力はどこにあるのか。
そして、本質的な意味での“経営”とは、“ベンチャー”とは、一体何なのか―。
昨今からの経済危機の影響で不安ばかりが先走りますが、千本氏の生き方や働き方の真髄を見れば、誰もが奮起するはずです。どうぞお楽しみください!
前回は、みなさんに徹底的に悩んだ上で行動するようにとお話しました。悩み抜いてから一旦始めてしまえば、強さというものが生まれてきます。飛び立った瞬間に、人間というのは強くなれるものなのです。ぜひみなさんも人生について、仕事について十分に考え、それから一歩を踏み出していってください。
熟考を重ねて実行しても、ときには失敗することがあります。イー・アクセスでは、WiMAX[Worldwide Interoperability for Microwave Access]という無線通信技術を使用する免許を取得するために尽力しました。なんとしても成功させようと、他社とも提携をし、さまざまな手段を講じました。結局、大失敗に終わってしまい、非常に落胆しました。

しかしその後、LTE[Long Term Evolution]という新たな通信技術が本命となり、こちらが世界の主流の会社に採用されることとなりました。あの時にWiMAXの免許を取得できなかったことが、今では幸いになっています。むしろ、成功していたらと想像すると、恐ろしいくらいです(笑)。
人生に最悪なことが起きてしまっても、最悪であるかどうかはそのときにはまだわかりません。もしかしたら、今、みなさんの中で何か失敗をして絶望している方がいるかもしれません。たとえ苦難に見舞われたとしても、落胆する必要はありません。時間のある一点だけで、物事は判断できないのです。
人生には、たくさんの可能性があります。何が成功で何が失敗なのかなんて、誰にもわかりません。全力で取り組んでいれば、失敗することがあっても、その後の人生で必ず逆転するときが必ずきます。私はこれまで数々の失敗を経てきました。みなさんは驚くかもしれませんが、私が挑戦してきたもののうち、9割は失敗でした(笑)。失敗を恐れずに、みなさんも200%の力で立ち向かい、正々堂々と挑んでいきましょう。
何事もポジティブに捉えることは、大切です。たとえば目覚めたとき、仕事の問題が山積みになっていることを思い出したとします。朝からため息をつくのではなく、人生が充実していると考えればいいのです。
前向きに真面目に生きていれば、自然といい方向に進んでいきます。そうしているうちに、偶然か必然か、素晴らしい物や人に引き合わせられます。私は、尊敬する松下幸之助氏と出会うチャンスに恵まれました。はじめて会った際、「経営の神様」と呼ばれ、当時89歳の松下氏に向かって、「松下は、情報産業にシフトすべき時期が来ている」と進言しました。

松下氏には若い情熱を受け入れる度量があり、私の言葉に耳を傾けてくれました。39歳の若造とは言え、よくあれだけのことが言えたと自分でも感心します(笑)。その後も松下氏とは交流が続き、第二電電株式会社(現:KDDI)の立ち上げが決まった直後に会ったのが最後となっています。
努力をしていれば、思いもよらない幸運が待っています。みなさんもどんなに辛いことがあっても、精根尽き果てるまで戦い続けてください。諦めた瞬間、負けを認めたことになります。もうだめだと思ったときに、あと一歩、踏ん張ってください。営業がうまくいかないとき、あと1分、話してみてください。転職先が見つからないとき、あと1社、受けてみてください。
限界を感じても、勇気を出してさらに1%がんばってみるのです。忍耐強く、これを積み重ねていったとき、得られるものが必ずあります。みなさんも一番苦しいと感じたときこそ、力を振り絞って耐えてください。今、もしあなたが辛いと感じていることがあったら、成功がすぐ近くにあるという証拠なのかもしれません。みなさん、もう少しがんばってみてください。




