


新しい挑戦として和食ビジネスに着手し始めた、松田公太氏。『Challenge ~自分を信じて突き進め~』の第9回目は、春のこの時期に如何に新たなスタートへ挑んでいくべきか、アドバイスをいただきました。
前回に少しお話させていただきましたが、長年構想していた和食ビジネスをついにスタートさせ、シンガポールでのオープンに向け、本格的に準備を進めている最中です。伝統的な和食文化に現代のテイストを融合させ、今までにない和食の可能性を追求しようと考えています。春になり、みなさんも新しいステージへと動き出しているのではないでしょうか。
新しい挑戦を始める前も始めてからも、「何のためにやるのか?」と自問し続けることが大切です。「何のために自分は生まれてきたのか?」という意味を突き詰め、自分の生きる目的を考えてみてください。『仕事は5年でやめなさい』でも書かせていただいた“自分未来史”では、過去を重視しています。例え失敗だと思うことも「経験」として未来に活かすことができます。今日の自分は過去があったから存在しているのです。人生を振り返り、目的を明確にすることで、新しい一歩を力強く踏み出すことができます。
一方、なかなか目的が定まらないときは、短期的な目標を掲げ、がむしゃらに目の前のことに取り組みながら目的を見いだすという方法もあります。何事も一生懸命取り組んでいると、ふとした瞬間に喜びや遣り甲斐を感じるものです。そのなかで自分の方向性を認識するということもあるのではないでしょうか。いずれにしても、常に考えているからこそ、キャッチできるものです。目的がわからないと立ち止まるより、とにかく動きながら考えてみてください。悩みや迷いがあっても、今日だけでも突き進む。そうすれば、必ずいい結果が生まれます。生きる目的を考え、自分の軸を持ちながら、自信を持って前進していってください。
頻繁にテナント(お店)が入れ替わる不動産を良く見受けます。例えば、公園の脇にある人通りの多い場所なのに、コンビニになったりスーパーになったりと、不思議なくらい新装開店を繰り返しています。
私はそのような物件を見ると、「なぜ経営が続かないのか?自分だったら何ができるか?」と想像してしまいます。人の集まる公園の近くでコンビニをやれば儲かると、利益だけを考えて出店するのではなく、まずは、どんなことをすれば、みんながハッピーになれるかを考えてみることが大切だと思います。たとえば、駄菓子屋だったら、子供たちが遊びながら買いに来るでしょう。コーヒーや温かい飲み物を売れば、子供を連れた大人も一緒に楽しめるでしょう。もちろん最終的には利益を考慮しなくてはいけませんが、ビジネスの基本は人の笑顔です。どれだけの人を笑顔にできるかどうか。これが重要なのです。
お客様に笑顔になってもらえれば、自分自身の喜びにもなります。これは従業員の満足度にも比例し、伸びるビジネスにつながります。目先の利益ばかりを追いかけても人財は育ちませんし、企業の成長は期待できません。サービスを受けるお客様も、サービスを提供する従業員も、みんなが笑顔になることがビジネスのキーワードです。
初回からお伝えしているように、私は「食」を通じて文化の架け橋となる、という想いを持って仕事に臨んでいます。常に起業家と社会起業家の中間ぐらいに位置したいという意識を持っています。転職を考えるみなさんも、自分が新しい職場で働く姿を想像するのも必要ですが、自分が新しい仕事をすることで、どれほど多くの笑顔を作り、どれだけの人を成長させられるかということも考えてみてください。
まさに今、お金だけの追求に走る資本主義が見直される時期にきています。かつて社会学者マックス・ヴェーバーが『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で述べていたように、単に利潤を求めるのでなく精神を重んじ、従来の資本主義そのものを考え直してみてはいかがでしょうか。何のために働いているのか。その仕事によってどれほどの人を喜ばせているのか。新しいステージに進む前に、ぜひもう一度、自分の原点、そしてビジネスの原点を考えてみてください。
「Challenge ~自分を信じて突き進め~」は、次回に続きます。
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松田公太 Kouta Matsuda タリーズコーヒー インターナショナル ファウンダー 1968年宮城県生まれ、東京育ち。著書『仕事は5年でやめなさい』ではこれまでの人生や仕事について語り、多くのビジネスマンに刺激を与え続ける。銀行員を辞めて「タリーズコーヒージャパン」を立ち上げたことは有名だが、現在は「タリーズコーヒーインターナショナル」を設立し、アジア各国での進出を手がけている。拠点をシンガポールに移し、日本とアメリカ、アジア各国でビジネスを展開する多忙な日々を過している。 |
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