

シンガポールに2店舗をオープンさせ、タリーズコーヒーのアジア展開を着実に進める松田公太氏。『Challenge ~自分を信じて突き進め~』の第5回目は、海外出店の秘話を含めた近況から、2008年を振り返っていただきました。
昨年、タリーズコーヒージャパン株式会社の社長を辞め、今年はタリーズコーヒーインターナショナルを設立と、クイズノスアジアパシフィック社長就任と、アジア環太平洋の国々を舞台に活動をしてきました。そして11月中旬、いよいよシンガポールで第1号店、12月には2号店もオープンすることができました。これまでもお話してきましたが、私の主な仕事はオーナーとの交渉や契約面。今後は、味やサービスの戦略を立て、どのようにしてタリーズコーヒーをシンガポールに浸透させていくかが課題です。まだまだ問題は山積みですが、タリーズコーヒーをアジアで展開させようという目標が着実に達成されているのは嬉しい限りです。
日本にタリーズ1号店を作る際も、アメリカのタリーズの会長に直談判に行き、交渉を重ねて実現させました。『仕事は5年でやめなさい。』(サンマーク出版)にも書きましたが、“100の理屈より、ひとつの行動が勝る”ということです。机上で座して考えるより、現場で動きながら考える方がはるかに効果的なのです。動くことで現状を把握でき、体と脳を同時に機能でき、よりよい対処法が見つかってきます。まさに今も、実践をしながら思考を続けています。
米国サンドイッチ・チェーン「クイズノス」のアジアパシフィックの社長も務めています。こちらではシンガポールやインドをはじめ、各国5社の大手企業とライセンス契約を決め、シンガポールには1月に、インドには2月にそれぞれ1号店がOPENする予定です。サンドイッチなので、扱う食材が多く、現地調達するのに大変な苦労をしています。出店のノウハウは国によって異なるので、驚くことがたくさんあります。たとえば家賃をとっても、日本で店舗として借りる場合は保証金として10ヶ月分の賃料が必要ですが、インドでは1~2ヶ月分です。
幼い頃から私は海外に暮らした経験があるので、たいていのことでは驚かないのですが、インドで印象に残った出来事がありました。インドには、たくさんのベジタリアンがいます。彼らは非常に厳密なベジタリアンなので、肉を口にしないだけでなく、肉を切った後のナイフやカウンターで調理したものも食べないのです。このため、店舗には別々のカウンターを用意する必要があり、倍の費用がかかりました。動きながら考えているからこそ、貴重な経験をし、そこから多くのことを学び、思考が活性化されるのです。
タリーズコーヒージャパンの社長を退任し、今年はタリーズコーヒーインターナショナルを立ち上げ、タリーズコーヒーをアジアに広めようと挑みました。クイズノスも含め土台作りの年でもあったので、数値の目標はベーシックなものを設定していました。契約社数も通常であれば15社は達成できたと思いますが、7社を目標に設定しました。新規の店舗を乱立させ、人材育成や成長が追いつかなくなるよりも、現場の努力を肌で感じられるくらいの数に留めました。数値を追い求めるよりも、基盤を作ることを重視したのです。
目的と目標の境があいまいな方が多いようですが、目標はあくまで目的を達成するまでの道標です。目的とは一本の矢が指す「的」のことで、一生かけて目指す場所。逆に目標は、思い描く場所にたどり着くために、一つひとつ通り過ぎる道標のようなものなのです。
現在、私は30カ国以上の契約業務に携わっています。日本の携帯に国際電話がかかってくると非通知で着信があるので、誰から連絡かわかりません。とりあえず電話に出て、話しながら英語のアクセントの違いでパキスタン人かインドネシア人かを判断するなんてこともよくあります(笑)。こういった各国での契約も、「食を通じて文化の架け橋になる」という私の目的を達成するためのひとつの目標にあたります。次回はちょうど新年ですし、目的と目標をいかに設定するかをご紹介します。それでは、2009年が皆様にとって実り多い年になりますよう、心よりお祈り申し上げます。
「Challenge ~自分を信じて突き進め~」は、次回に続きます。
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松田公太 Kouta Matsuda タリーズコーヒー インターナショナル ファウンダー 1968年宮城県生まれ、東京育ち。著書『仕事は5年でやめなさい』ではこれまでの人生や仕事について語り、多くのビジネスマンに刺激を与え続ける。銀行員を辞めて「タリーズコーヒージャパン」を立ち上げたことは有名だが、現在は「タリーズコーヒーインターナショナル」を設立し、アジア各国での進出を手がけている。拠点をシンガポールに移し、日本とアメリカ、アジア各国でビジネスを展開する多忙な日々を過している。 |
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