「Don't trust over 30 - 失敗も成功も何でもできる20代、君への提言」SBIホールディングス代表取締役役員CEO SBI大学院大学 学長 北尾 吉孝

第4回 「自己に気づき、自己を変ずる」

40代にして大手証券会社からソフトバンクへ“転職”を果たし、1999年ソフトバンク・ファイナンスを設立。
現在はソフトバンクから独立し、約80のグループ会社を傘下に有するSBIホールディングスのCEOを務める北尾吉孝氏。
昨春にはSBI大学院大学を開校、日本における有為な人材の育成に取組んでいる。
そんな北尾氏がどのような青年時代を過し、仕事と向き合い、成功を遂げてきたのか―。
雇用問題が取り沙汰される今、北尾氏とともに「仕事は何なのか?人生とは何なのか?」を4回に渡って紐解いていきます。どうぞお楽しみください!

己を省みる

人員削減、工場閉鎖・・・、最近は飛び込むニュースが、気分が暗くなるようなものばかりです。この読者の中にも、レイオフや自主退社をされた方がいるかもしれませんね。仕事を辞めても、次の就職先を見つけるのは難しいというのが現状です。一方で、不況はわるいことばかりではありません。自分の働き方や生き方を考えるきっかけになります。

人を知るものは智なり、自らを知る者は明なり[人を知るのは智者に過ぎないが、自分を知るのは明智(最上の明)とすべきことだ]」と、『老子』に自分を知る難しさが書かれています。たとえば、がんばっていたのに解雇されたとしても、努力したと自分で思い込んでいただけで、他人の評価は違っていたということです。自ら自己を把握するのは、非常に困難なことなのです。

失われる学生の本分

仕事がうまくいかなくなったということは、自分自身にも何らかの問題があったはずです。これを機によく反省し、自分が変わっていかなければいけません。景気後退と言っても、いつまでも現在のような状態が続くはずはありません。いつか再び良くなるときが来ます。今まで足りなかったことは何なのかを考えて、前向きに新たな挑戦に踏み出していってほしいと思います。

しかし、これまで実力を付けてこなかった過去を悔やんでも何も始まりません。長々と理屈をこねているくらいなら、仕事のあるところに率先して行くべきです。介護でも農業でも、人が求められている分野で、与えられたチャンスを掴み、雇ってくれたことに感謝しながら必死に働くのです。 自分の適性や過去の経験を気にされている方もいるようですが、今の経済動向・雇用動向を見ていると、現実的にならざるを得ません。ためらっている時間さえ惜しいくらいです。そうであれば、新しい分野でもう一度ゼロからチャレンジしてみるのです。同じ人間なのですから、自分にもできるに違いないというくらいの気概を持って挑んでみてください。

精神を鍛える

みなさんは、今の日本には何が必要だと思いますか?私は指導者となるような人物だと考えています。戦後の日本教育は道徳的見識を育てる人間学が欠如し、日本を牽引していくエリート層が育っていません。

今の日本人には自分を鍛えようという気持ちがなく、精神が非常に脆弱です。左遷をされてしまった。仕事を失ってしまった。たとえそのような状況でも、耐え忍ぶのです。

30年後の先見の明

曾国藩という政治家は「四耐」として、人間が耐えなければいけないことを四つあげています。「人生、冷に耐え、苦に耐え、煩に耐え、閑に耐え、もって大事為すべし[人生は、冷遇に耐え、苦労に耐え、いろいろな煩雑なことに耐え、逆境に耐えることが大事である]」ということです。昔の人は耐えることの大事さをきちんと教育されていたように思います。一方で今の人は、耐えようとしません。

私は日本の将来に危機感を覚え、道徳教育を主眼とした人物の養成に取り組まなくてはならないと思い、「SBI大学院大学」を2008年に開校しました。 資源が少なく、国土も狭い日本にとって、人材こそが財産です。将来は起業しようと考えているような若者にぜひ入学してもらいたいです。そして、新しい産業を作り出し、独創性をもって世界へ勝負をしていくような日本人になっていってほしいと思います。

しかし、世界を舞台に活躍したいからといって、外国語の学習ばかりに気をとられないようにしてください。外国語を話せるから言って国際的な人間とは言えません。日本と外国との違いを理解しているかどうかです。言語だけに惑わされないで、みなさんが幅広い教養を身に付けて、世界へ向かって飛躍していくことを願っています。

SBIホールディングス株式会社

設立年月日
1999年7月8日
資本金
551億9400万円
本社所在
東京都港区六本木一丁目6
番1号
事業内容
アセットマネジメント事業
ブローカレッジ&インベストメントバンキング事業
ファイナンシャル・サービス事業
住宅不動産関連事業
システムソリューション事業

SBIホールディングス代表取締役役員CEO SBI大学院大学 学長 北尾 吉孝(Yoshitaka Kitao)

SBIホールディングス代表取締役役員CEO SBI大学院大学 学長 北尾 吉孝(Yoshitaka Kitao)

1974年、慶応義塾大学経済学部卒業後、野村證券入社。
1978年、英国ケンブリッジ大学経済学部卒業。野村證券ニューヨーク拠点、事業法人三部長などを経て、1995年、孫正義氏の招聘によりソフトバンクへ入社、常務取締役就任。現在、SBIホールディングス株式会社代表取締役執行役員CEO。

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「君子を目指せ小人になるな-私の古典ノート」北尾吉孝著

『君子を目指せ小人になるな―私の古典ノート』北尾吉孝著 / 致知出版社 孔子が言う「君子」という人物像が「小人」と対比しながらわかりやすく述べられている。幼少期から論語に親しんできた著者ならではの明快な解説で、中国古典に不慣れな読者でも一語一語が胸にすっと溶け込んでくる。ルビもあるので、初心者でも漢文の読み下し文を味読でき、何度でも読み返したくなる。

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