第3回 「如何なるときも、しなやかな心も持つ」
40代にして大手証券会社からソフトバンクへ“転職”を果たし、1999年ソフトバンク・ファイナンスを設立。
現在はソフトバンクから独立し、約80のグループ会社を傘下に有するSBIホールディングスのCEOを務める北尾吉孝氏。
昨春にはSBI大学院大学を開校し、日本における有為な人材の育成に取り組んでいる。
そんな北尾氏がどのような青年時代を過し、仕事と向き合い、成功を遂げてきたのか―。
雇用問題が取り沙汰される今、北尾氏とともに「仕事は何なのか?人生とは何なのか?」を4回に渡って紐解いていきます。どうぞお楽しみください!
前回はどのような経緯でソフトバンクに入ったかをお話しましたね。入社から4年後の1999年、ソフトバンク・インベストメント株式会社(現:SBIホールディングス株式会社)の代表取締役社長に就任しました。これはよく誤解されるのですが、自分から志願したのではなく、会議で決まったのです(笑)。
現在のSBIグループは、当時わずか55名の従業員でスタートし、ちょうど10年経った現在では従業員は約2500名といった規模になりました。

50歳にして天命を知った孔子は、「命を知らざれば、以って君子たること無きなり[君子は怠ることなく学び続け、自らの素質や能力を開花させてあるべき自分をつくっていき、自らの天命を知らなければならない。]」と天命について述べています。私は、幸いにも孔子より1年早く49歳のときに自分の天命に気づくことができました。
インターネットを使って顧客中心のサービスを提供すること。それから、事業で得られた資産の一部で、恵まれない子供たちへの社会貢献活動を行うという2点が私の天命です。2005年にはSBIグループの中に「SBI子ども希望財団」という財団法人も設立し、私は天命を果たすために働き、活動をしています。
みなさんも精一杯の努力をしていれば、天からの“ささやき”とも言える啓示が必ずあります。2、3年ですぐに諦めて、中途半端な転職を繰り返していてはだめです。がんばり続け、そして天の声を従順に受け入れてください。
読者の方の中にも転職を考えている人が多いかと思います。動機は様々でしょうが、実力が認められない、仕事に見合う給与がもらえていないなど、「正当な評価が受けられていない」というのが主な理由ではないでしょうか。
しかし、自分はしっかりとできていると思っていても、評価は他人がするものです。社内に限らず、お客様など社外の人々によって価値を判断される場合もあります。必死に仕事に取り組み、実力を蓄えていれば、自然と周囲から評価を受けようになります。

こちらのサイトのタイトルにもなっていますが、天職を見つけるために転職をしたいと考える読者の方がいらっしゃるでしょう。しかし、そもそも天職は見つけるものではありません。一所懸命に働いているうちに、その仕事があなたにとっての天職となるのです。まずは、熱意と強い意志を持って、与えられた仕事に打ち込むことです。
そして、どんなときも素直な心を忘れないでください。たとえば、何かを教えてもらうときは、相手の年齢に関係なく謙虚に構えるのです。私は40歳を越えてから、パソコンを始めました。子供の頃からパソコンに慣れ親しんできた若者は、私にはない感性を持っています。年を重ねたら、若い人の話にもきちんと耳を傾けることが大事なのです。読者のみなさんも、幾つになってもしなやかな心を持ち続けることが、せっかくの運を逃さないコツだと覚えておいてください。



